前回の、ダイエット哲学【①健康を軸にする (食事編)】に引き続き、「運動編」をお伝えします。
健康を保つ上で、運動の効果を高める為には食事が大切ですので、もし、食事編をご覧いただいていない方は、あらかじめご覧いただくと理解が深まると思います。
ダイエットをするために運動される方はたくさんいらっしゃいます。
ヨガやランニングなどが特にブームになっているようですが、健康を保つ上でどのような運動をしたらよいのかがポイントになってきます。
まず、健康を軸にして運動を行うことについてお伝えする前に、そもそもなぜ食事だけでなく、運動をしないと長期的にダイエットが成功しないのかについて説明します。
それがないと運動をしようとする気持ちが起こりませんので。
ダイエットになぜ運動が必要かというと、それは運動をしないでいるとエネルギーを使う場所である筋肉の量が減るからです。
『えっ、タンパク質などの栄養素を必要量摂っていればいいんじゃないの?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、筋肉を維持するためには栄養とセットで運動が必要なのです。
私たちの身体は、長く生きようするために、与えられたストレスに対しては適応して強くなろうとする一方、使わなくなった能力は無くなっていくような仕組みになっています。
これをルーの法則といいます。
例えば、あなたが経営者だとして、まったく働かずサボってばかりで給料ドロボーのような社員がいたらどうしますか?おそらくリストラすると思います。
身体も同じようにできていて、運動するために必要な筋肉を使わずにいるとエネルギーの消費量が多い筋肉がなくなっていきます。そうすると基礎代謝が落ち、太りやすくなるのです。
以上の理由から運動は止めたら、ルーの法則により筋肉が落ち始めるため、体型を維持するためには運動を継続し続けないといけません。
運動は継続し続けないと体型を維持することはできないということはお分かりいただけたと思いますが、結果がでているからといってただやみくもに継続するだけではダメなんです。
運動を行う上で気を付けなければならないことがあります。
それは何か?
障害、つまりケガです。
運動というのは身体に負荷がかかります。そして、運動の仕方が間違っていたり、身体の負担が大きくなりすぎると障害につながり、その結果運動ができなくなってしまい、リバウンドということになりかねません。
仮にケガが治ったとしても間違った運動の仕方を直さなければケガを繰り返し続け、いずれは運動自体が困難な状態に発展してしまいます。そうなったらもはやダイエットどころではありません。
障害が起こる原因はいくつもあると思いますが、特に大切だと思うのが次の二つです。
①機能的でない身体の使い方をしている
②オーバーユース(使いすぎ)
まず、①の機能的でない身体の使い方をしているとは何かと言いますと、私たちは運動をするときに関節が動きます。この関節にはそれぞれ可動域(関節が動く範囲)というものがあります。
可動域は関節を形成する骨の構造や筋肉や靭帯などの結合組織の長さなどにより決まり、その可動域を超えるような負担がかかると筋肉や靭帯を損傷するような障害が起こります。
足首の内反捻挫などは分かりやすいかなと思います。
また、私たちの身体の関節は、「大きな動きに適した関節(モビリティジョイント)」と「大きな動きに適さない関節(スタビリティジョイント)」に分かれており、それが隣り合わせに存在しています。
例えば、スタビリティジョイントである、腰の関節は腰椎5つで構成されております。
皆さんは、腰の関節がどのくらいひねることができるかご存知ですか?
よく野球のスイング指導なんかで、『腰を回して打て~』のようなことを言われたこともあるかもしれませんが、よくどれだけひねることができるか質問すると『90度くらいですかねー』といった答えが返ってきておりました。
たしかに実際に身体を動かしてみるとそれぐらいひねることができそうな気がしますが、実際に腰の関節はどのくらいひねれるかと言いますと、
およそ5度です。
時計の秒針1秒が6度なので、腰の関節はほとんど回旋(ひねること)ができないということがわかります。
では、実際に身体をひねるときに動いている関節はどこかというと、胸椎です。
では、胸椎が正しく動く為には腰の部分は固定されていないといけません。
つまり、「腰は回すな!」なのです。
もし、腰の関節が固定されていないで、身体をひねるような動きを運動中に行い続けると将来的に腰の障害を招くのです。
では、どのように固定するかといいますと、コルセットの役割をする腹横筋などの腹圧を高める為に必要なたくさんの筋肉を働かせます。腰痛になった人はこれらの筋肉の働きが弱い為にその代わりをコルセットにさせているのです。
このように関節の役割や特徴に合わせて身体を動かすことが大切であり、その考え方に基づいたトレーニング法を「ファンクショナルトレーニング」と言います。
フィットネスクラブなどに通われた経験がある人はご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、けして特定のトレーニング法ではなく、トレーニング概念であり、身体を動かす際の効率を上げ、関節に負担を掛けない為の身体動作のルールだと思ってください。
つまり、ランニングやヨガ、その他のスポーツ、すべての運動は機能的な身体の動きを基に行われることが大切なのです。
ファンクショナルトレーニングの理論と実践をしっかりと学んだ上で運動することが、障害を予防し、長く継続していく為には大切です。
次に②のオーバーユースについてですが、例えば、自動車のタイヤが段々すり減ることで次第にバーストするのと同じように、私達のカラダも単純に使いすぎることで、障害が起こります。
きちんと身体を休めたり、ストレッチなどして疲労している筋肉を回復させているかということも障害を未然に防ぐためには大切なことです。
また、ファンクショナルな身体の使い方ができていないと、特定の部分にばかり負担がかかるので、②は①に影響を受けると言えます。
私たちの身体は、ルーの法則により強い負荷が与えられると筋肉を増やすなどして適応しようとします。筋肉が増えれば脂肪を燃やす場所が増え、ダイエットのプラスとなります。このことも運動を取り入れることのメリットなのですが、そのためには休養が必要なのです。
休養が不十分で身体へのストレスが蓄積しぎることで障害を引き起こします。
どのくらいの休養が必要かというと、筋トレなどの大きな負荷を身体に与え休養すると「超回復」を起こし以前よりも筋肉が強くなろうとしますが、一般的に超回復には48~72時間が必要とされています。ただ、運動の強度や疲労の度合いにもよりますので、トレーナーと相談すると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
私がフィットネスクラブに勤めていた時も、自己流の運動によって腰を痛め、運動中止を余儀なくされた方がいらっしゃいました。
習い事などでは先生を付けるのに、運動になると自己流で行う人が多いのです。
トレーニングも解剖学に基づいた科学です。
一生あなたとお付き合いするカラダとの「付き合い方」をぜひ見直してみてください。
次回は、ダイエット哲学【②日常生活をフィットネスにする】です。
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トゥーワールドコーチングオフィス代表の吉長でした!