さて、これまで私が考えるダイエット哲学について、【基礎知識編】・【①健康を軸にする(食事編・運動編)】・【②日常をフィットネスにする】と数回にわたってお伝えしてまいましたが、ついに最終回となりました。
前回まででお伝えしてきたことは長期的なダイエットを成功させる為のいわば行動指針です。
しかし、たとえやるべきことが明確であっても、それを行うにはモチベーション、つまり「やる気」がなければまるで意味を成しません。
私がおよそ10年間いたフィットネス業界を卒業し、「メンタルコーチ」として起業するにいたる一つのきっかけになったテーマでもあるのですが、3つの哲学の中で最も大切なのが、3つ目の【③本当の目的と共にある】だと考えております。
『えっ、ダイエットの目的なんて言われなくてもちゃんとあるんですけど!』といった声がたくさん聞こえてきそうですが、私がフイットネス業界で何千人ものダイエット目的の方達に対してヒアリングしてきた中で感じたことは、ほとんどの方は「目的」ではなく、「目標」しか明確になっていないのです。
たとえば、『あなたのダイエットの目的は何ですか?』と質問され、あなたの答えが
『モデルの〇〇さんみたいな体型になりたい』『○○kgになりたい、もしくは○○kg落としたい』『くびれを作りたい』『昔着ていた洋服をもう一度着たい』『腹筋を縦に割りたい』『二の腕を細くしてノースリーブの洋服が着たい』『太ももを細くして細身のパンツを履きたい』etc…
のような答えだけだとしたら、要注意です。
これらは実際にヒアリングした中で最初にトレーナーに伝えられる答えの一例です。
きっと心当たりがある方も多いのではないでしょうか?
一見これらの答えを目的と思っている方も多いのですが、これらはすべて「目的」ではなく「目標」です。
『それのどこがいけないの?目標があればそれで充分じゃないの?』という声が聞こえてきそうですね。
もちろん目標があるだけでダイエットを成功させる方もいらっしゃるかと思います。しかし、もしあなたが繰り返しリバウンドを経験されているのでしたら、おそらくそれはダイエットをする為の「本当の目的」がないことが原因の一つかもしれません。
「本当の目的」から生まれた目標でないから続かないのです。
では、「本当の目的」とは何か?
それは、思わず顔がニヤけるほどの「ハッピーでワクワクするような未来のイメージ」です。
分かりやすく言うと、目標を達成した後で何が起こったら幸せなのかというイメージが明確になっていることです。
そしてこの時大切なのはワクワクするような感情がともなうイメージかどうかです。
人間にとって「感情」は、自動車でいうところの「ガソリン」にあたります。
感情というガソリンがあるから、目的や目標を達成する為に私たちは行動を持続させることができるのです。
人は、「喜び」「幸せ」「楽しさ」などのポジティブな感情があると、いつまでもその行動を続けたくなります。(私も龍馬伝にハマった時は、早く次の回が見たいから毎日睡眠時間を削って明け方近くまで見まくっていました。この時辛いと感じたことはもちろんありません。笑)
感情があるから人は動きます。「感動」という言葉はありますが、「理動」という言葉はありません。人は理屈だけでは動けないのです。(思いっきり受け売りです。)
だから、もしあなたが目標を持ち、達成後のプラスなイメージを持ってアクセルを踏んでいたとしても、ワクワクするような感情、ガソリンがなければ、車は前には進みません。ダイエットをしてもきっと長くは続かないでしょう。
つまり、感情をともなう目的が「本当の目的」であり、それと共にダイエットに取り組むことで成功に繋がっていくのです。
例えば、あなたが「モデルの○○さんみたいな体型になる」という目標を持っていたとして、その目標を達成したあとどうなっていたいかを想像してみた時に、「これまで似合わないと思っていた洋服も着ることができるので大好きなファッションをもっと楽しんでいて、自信を持って街を歩いていたり、友達からも『かっこいいね』などと言われたり、夏は海に行って堂々と日焼けしたり泳いだりして他人の目を気にせずおもいっきり楽しんでる!」というような未来のイメージによって、顔がニヤけるくらいにワクワクするならOKです。
しかし、なかなか自分に合ったワクワクするような未来のイメージが描けないという方もいるでしょう。
ではどうしたら感情をともなう未来のイメージを抱くことができるのでしょうか?
それはあなたが大切にしている価値観と関連づけることです。
価値観とは分かりやすくいうと「生きていく上で大切にしたいこと」です。
そもそも多くの方のダイエットを始めるきっかけとして、一般化された「世間の価値観」に影響を受けていることが考えられます。痩せてスタイルが良いほうが価値があるなどは文化的な価値観です。(国によっては太っている方が良かったりしますからね。)
痩せている人達の幸せそうな様子を見聞きする中で、『自分もあんなふうにスリムになれたら幸せになれるかも』と思ったり、他者と比較して太っている自分は不幸だと思い込み、ダイエットしなければと決意しているだけかもしれません。
極論ですが、太っているほうがあなたの価値観を満たし、幸せだと感じるのならダイエットなんかしなくても良いのかもしれません。芸能人の渡○直美さんなどは、痩せようなんてこれっぽっちも思っていないのではないのでしょうか?
きっかけは何にせよ、何かやろうと思ったことを成し遂げた先に幸せがある可能性はもちろんあります。一般的にはダイエットすることで多くのメリットをもたらす可能性は高そうですしね。ですので、他者や世間の価値観の影響を受けてダイエットを始めることすべてが悪いことではありません。
でももし、あなたが痩せたら幸せになれるかなと思ってダイエットしても、すぐにやる気がなくなって続かないとしたら、目的や目標が他者の価値観をもとにつくられているからかもしれません。なのでまずはあなたの大切にしている価値観は何かを考えてみる必要があります。
とはいえ、『自分の大切にしている価値観なんてよくわからない』ということもあるでしょう。
そこで、あなたの「過去」からヒントを探していきます。
「あなたがこれまで生きてきた中で、モチベーションを高く保ちながら続けてきたことは何ですか?」
きっと、一つや二つあるはずです。
例えば、あなたは料理をすることが好きで、『食べてもらった相手に喜んでもらうと自分もとっても嬉しい♡』から料理する時はワクワク楽しんでできるのだとしたら、ダイエットをすること、目標を達成することで誰かが喜んでくれているイメージをするとワクワクした感情が生まれてくるかもしれません。
趣味のようなもので思いつかなければ、仕事でも何でも良いです。あなたが一生懸命取り組んできたことの中に大切にしている価値観は隠れているはずです。
あなたの過去をヒントに、大切にしている価値観を見つけ、あなたにしかないダイエットをする「本当の目的」を見つけ出してみてください。
さて、ここまで「本当の目的」についてお話してきました。
ガソリン満タンでアクセルを踏むことが前に進むためには何より大切なことです。
しかし、それだけでは不十分な場合もあります。
それは、心のブレーキが効きすぎている場合です。
私たちの身体は、暑いと汗が出て、寒いと鳥肌が立ったりブルブルして体温を一定に保とうとするなど、生命にとって「安全な状態」を常に維持しようとする機能がありますが、これを「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と言います。
実はこのホメオスタシスは「心理的」にも働くのです。
このホメオスタシスは「無意識」の領域によって行われますので、いくら「意識」の上で『痩せたい!』『変わりたい!』と願ったとしても、無意識はいま現在の状態が安全・安心で、「変化することは危険」と感じている為なかなか行動に移せないのです。
この現状に留まろうとする行動習慣は、例えば、TVをダラダラみる、甘いものを欲する、などのあなたをこれまで太っているのを保つために一役買っていた習慣です。これらを止めることでストレスが生まれ、元に戻そうとする誘惑に抵抗できなくなってくるのです。
そこで、心のブレーキを緩めるためには、現在の習慣を継続することで未来にどんな危険が待っているかを負の感情を伴ってイメージするのです。現状を維持することがこの先の恐怖になることが分かれば、止められる可能性が高まります。
タバコが止められないという人でも、肺ガンが発覚し、『吸い続けたら確実に死に、止めたら薬で治ります』と医者に言われたとしたらおそらく止めるでしょう。
ただ、心のブレーキだけを緩めても、アクセルの効きが悪かったら前に進まないかもしれないので、最初は「本当の目的」を明確にするところから始めていきましょう!
いかがでしたでしょうか?(読むの大変だったー、という声が聞こえてきそう…笑)
以上が私が伝えたいダイエット哲学です。
言うまでもないと思いますが、これは絶対的な真理ではありません。
心理学や脳科学に基づく部分もありますが、万人の助けになるかは分かりませんし、私の成長と共に今後少しずつ更新されていくかもしれません。しかし、もしあなたがこれまで何度もダイエットに失敗しているのだとしたら、ぜひ三つの哲学のうち一つだけでも試してみてください。
そしてまずは、
「あなたが大切にしている価値観は何ですか?」
「あなたがダイエットする、本当の目的は何ですか?」
「このままのあなたでいると、10年後、20年後どうなってしまうと思いますか?」
これらの問いについて考えることから始めてみてください。
もし、1人で考えていても、なかなかダイエットに取り組むモチベーションが上がらないという方は、ぜひ私のような「メンタルコーチ」に一度相談してみてくださいね。
貴重なお時間を割いて読んでいただき、ありがとうございました!
トゥーワールドコーチングオフィス代表の吉長でした。